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ひとり法人の第1期決算、税理士に頼まず申告まで終えた — かかったもの・かからなかったもの

・ 約4分で読めます ・ 文責: ひとり経済圏

第1期の決算と申告を、税理士に依頼せずに終えました。

先に断っておくと、これは「税理士は不要」という話ではありません。うちの1期目がたまたま自力で行ける条件が揃っていたという記録です。同じ条件なら参考になるはずで、条件が違うなら素直に頼んだ方が安い。その線引きも含めて書きます。

目次
  1. 「決算」で実際に提出するもの
  2. 自力で行けた条件
  3. 赤字でも、かかったもの
  4. 仕入が多い期は、消費税が「戻ってくる」ことがある
  5. 自力申告で詰まりやすい場所
  6. まとめ

「決算」で実際に提出するもの

1期目の自分が一番分かっていなかったのはここでした。「決算」とひとことで言っても、提出物は1つではありません。

提出先出すもの
税務署法人税・地方法人税の申告書、決算書(貸借対照表・損益計算書)、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書
都道府県・市町村法人住民税・事業税の申告書
税務署(課税事業者の場合)消費税の申告書

期限はどれも事業年度終了から2か月以内期限マップの記事で書いたとおり、この2か月は思っているより短いです。うちは決算処理で6か所詰まり、記録の復元に時間を食われました。

自力で行けた条件

振り返ると、うちが税理士なしで通れたのは次の条件が揃っていたからです。

  1. 取引の種類が少ない。 物販の仕入と売却、あとはわずかな経費。給与計算もない(1期目は役員報酬ゼロ)
  2. 従業員がいない。 年末調整も社会保険の算定も自分ひとり分の話で済む
  3. 会計ソフトが決算書までは作ってくれる。 日々の記帳が済んでいれば、貸借対照表と損益計算書はソフトから出る
  4. 調べる時間を確保できた。 ここが実は一番大きい。分からない論点を1つずつ調べる時間コストを、お金の代わりに払った

逆に言うと、取引が複雑(複数事業・輸出入の還付・従業員あり)、時間がない、初年度から利益が大きい——どれかに当てはまるなら、税理士報酬は「外注費」ではなく「保険料」として払う価値があると思います。うちも全部をひとりで抱えたわけではなく、判断に迷う論点はスポットで専門家に確認する前提で進めました。

赤字でも、かかったもの

1期目は赤字でした。それでも出ていくお金はあります。

かからなかったのは税理士報酬です。ただし上に書いたとおり、これは「浮いた」というより「時間で払った」が実態に近い。

仕入が多い期は、消費税が「戻ってくる」ことがある

1期目でいちばん意外だったのはここです。

物販は先に在庫を仕入れます。売上がまだ小さい期は、売上で預かった消費税より、仕入で払った消費税の方が大きいことが起きます。本則課税なら、この差額は還付申告で戻ってきます

ただし条件があります。

  1. 課税事業者であること。 免税事業者のままでは還付という概念自体がない。うちはインボイス登録(経緯はこの記事)で課税事業者になっていた
  2. 本則課税であること。 簡易課税や2割特例では仕入税額の実額計算をしないので、還付は受けられない
  3. 適格請求書(インボイス)の保存。 仕入税額控除の要件なので、領収書・請求書が残っていないと控除も還付も消える

「課税事業者になると消費税を払わされる」という話はよく聞きますが、仕入先行の事業では逆に働く期があることは、あまり語られていない気がします。もちろん売上が伸びれば納付側に回るので、これは1期目特有の風景です。

自力申告で詰まりやすい場所

やってみて「ここは事前に知りたかった」という点を3つ。

  1. 決算書と申告書は別物。 会計ソフトが作ってくれるのは決算書まで。法人税の申告書(別表)と消費税の申告書は、ソフトのプランによっては範囲外で、別のツールか手書きになる。会計ソフト選びの記事で「申告書までカバーされるか」を軸に挙げたのはこの経験からです
  2. 地方税の申告先は登記の場所で決まる。 税務署に出して終わりではなく、都道府県と市町村にも別々に出す(東京23区は都税事務所にまとまるなど、地域で形が違う)
  3. 期末在庫の振替を忘れると損益が変わる。 物販は特に影響が大きい。詰まった6か所の記事に書いたとおりです

まとめ

制度の細部は変わりますし、この記事はあくまで一つの事例です。金額の大きい判断や迷う論点は、国税庁の資料と税理士への相談で確かめてください。1期目の結論としては——自力申告は可能だが、可能にしているのは日々の記録でした。2期目はそこから始めています。