ひとり法人の1月は提出物が4種類ある — 給与支払報告書・法定調書・納期の特例・償却資産を「役員1人」の前提で仕分ける
1月の第2週あたりに、封筒が続けて届きます。税務署から法定調書の手引、区役所から給与支払報告書の総括表、都税事務所から償却資産の申告書。1期目のときは「給与は自分の役員報酬だけなのに、何をこんなに出すのか」と思いました。
2期やって分かったのは、ひとり法人でも1月の提出物は4種類あり、それぞれ提出先が違うということです。宛先ごとに仕分けると迷いません。
目次
先に一覧
| 提出物 | どこへ | 期限 | 役員1人・役員報酬のみの法人では |
|---|---|---|---|
| 給与支払報告書(総括表+個人別明細書) | 役員の1月1日時点の住所地の市区町村 | 1月31日 | 要る(役員報酬も給与) |
| 法定調書合計表+給与所得の源泉徴収票 | 所轄税務署 | 1月31日(令和7年分は2026年2月2日) | 合計表は要る。源泉徴収票の税務署提出は役員報酬が年150万円超なら要る |
| 報酬・料金等の支払調書 | 所轄税務署(合計表に添えて) | 同上 | 税理士等に年5万円超払っていれば要る。自力申告なら通常なし |
| 源泉所得税の納付(納期の特例分) | 納付(e-Tax・金融機関) | 1月20日 | 特例を申請済みなら7〜12月分をまとめて。未申請なら毎月10日 |
| 償却資産申告 | 都税事務所(23区)/市区町村 | 1月31日(2026年は2月2日) | 事業用資産があれば要る(別記事) |
期限が「1月31日」に集中していますが、納期の特例だけ1月20日で、しかも提出ではなく納付です。ここを一覧の中で一番先に置いています。
給与支払報告書 — 市区町村へ。役員報酬も「給与」
住民税の材料になる書類です。前年に給与を払った相手ごとに個人別明細書を作り、総括表を付けて、その人の1月1日時点の住所地の市区町村へ1月31日までに出します。役員報酬は税法上の給与なので、役員1人でも対象です。
除外されるのは、年の途中で退職した人で支払額が30万円以下の場合だけ(国税庁タックスアンサーNo.7411)。ひとり法人には関係のない例外です。
出し方は紙・eLTAX・光ディスクのいずれか。うちはeLTAXにしました。理由は次の税務署分と同じデータで済むからで、これは次の項で効いてきます。
法定調書合計表と源泉徴収票 — 税務署へ。役員は「150万円超」が線
税務署に出すのは「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と、提出範囲に該当する法定調書です。手引にはこうあります。
法定調書を税務署に提出する際は、作成した「法定調書」と「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を併せて提出してください。
源泉徴収票を税務署に出す範囲は、年末調整をした分については次のとおりです(令和8年12月31日以前に提出するもの)。
| 受給者 | その年の給与等の支払金額 |
|---|---|
| 法人の役員 | 150万円を超えるもの |
| 弁護士・税理士等(給与として払う場合) | 250万円を超えるもの |
| その他の従業員 | 500万円を超えるもの |
役員報酬を年150万円以下に抑えている法人なら、税務署分の源泉徴収票は不要で、合計表だけ、という年になります。逆に150万円を超えていれば源泉徴収票を1枚添えます。
注意点が2つ。
- 本人への交付は範囲に関係なく必ず。受給者全員に翌年1月31日まで(退職者は退職後1か月以内)。役員1人でも、自分宛に発行します
- 2027年1月1日以後は「みなし提出」。市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署にも源泉徴収票を出したものとみなされます(No.7411)。つまり2026年分(2027年1月提出)からは、税務署提出用の源泉徴収票を別に作らなくてよくなる。eLTAXで出しておく意味がここです
提出すべき法定調書が1枚もない年に、合計表だけを出すかどうかは、私が一次情報で確認できていません。税務署から届く手引の合計表の欄で確認してください。
支払調書 — 税理士に払っていれば5万円超で
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、税理士・弁護士・司法書士などへの報酬が同一人に対して年5万円を超えるときに提出します(No.7431)。ひとり法人で該当するのは、ほぼ税理士か司法書士への支払いです。
第1期を自力で申告したうちは、この調書はありませんでした。税理士に決算を頼んでいる法人は、たいてい1枚出すことになります。
納期の特例 — 1月20日に、7〜12月分の源泉所得税を納める
役員報酬を払うとき、所得税を源泉徴収して国に納めます。原則は翌月10日ですが、給与の支給人員が常時10人未満なら、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を出すことで半年ごとにまとめられます(No.2505)。
| 対象期間 | 納付期限 |
|---|---|
| 1〜6月に源泉徴収した分 | 7月10日 |
| 7〜12月に源泉徴収した分 | 翌年1月20日 |
特例の対象は、給与・退職金と、税理士等の報酬から源泉徴収した所得税です。申請書を出すと翌月末に承認されたものとみなされ、その翌月に源泉徴収する分から特例が適用されます。
見落としやすいのは、設立直後に申請していないと毎月10日納付になっている点です。うちは設立時にまとめて出したので最初から半年払いでしたが、出し忘れると1月に「前年分を毎月払っていなかった」ことに気づく形になります。社会保険料の記事で書いた役員報酬の月額を決めた時点で、源泉徴収の額も納付サイクルも決まっています。
償却資産申告 — 税金ゼロでも申告あり
PCや什器を事業用に持っていれば、1月1日時点の資産を都税事務所(23区)または市区町村に申告します。合計150万円未満なら課税されませんが申告は要ります。詳細は償却資産申告の記事に分けました。
e-Taxが義務になる線
法定調書は、前々年に提出すべきだった枚数が種類ごとに30枚以上だとe-Tax・光ディスク等での提出が義務になります(No.7400)。ひとり法人は届きませんが、任意でe-TaxやeLTAXにしておくと、みなし提出との相性がいい、というのが上で書いた話です。
まとめ
- 1月の提出先は3つ(市区町村・税務署・都税事務所)+納付が1つ。期限は1月31日集中、納期の特例だけ1月20日
- 給与支払報告書は役員報酬だけでも要る。提出先は役員の1月1日の住所地
- 源泉徴収票の税務署提出は役員150万円超が線。本人交付は金額にかかわらず必ず
- 2027年1月以後は、給与支払報告書を出せば源泉徴収票は税務署に出したものとみなされる
- 支払調書は税理士等に年5万円超払った場合。納期の特例は申請していないと毎月10日納付
次に確認すること
- 納期の特例の承認申請を出しているか。出していなければ、毎月10日納付になっている
- 前年の役員報酬が年150万円を超えているか(源泉徴収票の税務署提出の要否)
- 令和7年分の提出期限は2026年2月2日(月)。カレンダーの1月31日が土日の年は手引の日付を見る