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ひとり法人の社会保険料は、役員報酬を決めた瞬間に決まる — 等級表の読み方と、境目の1,000円

・ 約5分で読めます ・ 文責: ひとり経済圏

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役員報酬の月額を決めて年金事務所に届け出ると、しばらくして「標準報酬決定通知書」が届きます。そこに書いてあるのは、自分が決めた月額ではなく等級です。

保険料はこの等級で決まります。定期同額給与の記事で「月額を決める順番」の最後に社会保険を置いたのは、決めた瞬間に1年分の保険料がほぼ確定するからです。この記事はその等級表の読み方だけを扱います。

目次
  1. 率は4つの足し算(東京・令和8年度)
  2. 等級表の読み方 — 報酬月額の「範囲」で等級が決まる
  3. 境目の1,000円 — 報酬を下げると保険料が上がることはないが、上げると跳ねる
  4. 賞与にもかかる — 標準賞与額
  5. いつ変わるか — 算定基礎届と随時改定
  6. まとめ
  7. 次に確認すること

率は4つの足し算(東京・令和8年度)

協会けんぽの保険料率は都道府県で違います。東京支部の令和8年度はこうです。

項目率かかる人適用開始
健康保険9.85%全員令和8年3月分(4月納付分)〜
介護保険1.62%40〜64歳(第2号被保険者)同上
子ども・子育て支援金0.23%全員令和8年4月分(5月納付分)〜
厚生年金18.3%全員平成29年9月分から固定

足すと、40歳未満で28.38%、40〜64歳で30.00%。これを法人と本人で折半するので、給与明細から引かれるのは半分(14.19%/15.00%)です。

ただし、ひとり法人では法人負担分も結局は自分の会社の現金から出ます。個人事業主か法人かの記事で「社会保険は税金より大きく動く」と書いたのはこの全額のほうで、ひとり法人は折半額ではなく全額で見るのが実態に合います。

等級表の読み方 — 報酬月額の「範囲」で等級が決まる

保険料額表は、報酬月額(役員報酬の額面)の範囲ごとに「標準報酬月額」という代表値を置き、その代表値に率をかけた金額を並べた表です。東京支部の表から30万円前後の3行を抜きます(単位: 円、全額)。

等級(健保/厚年)標準報酬月額報酬月額の範囲健康保険(40歳未満)健康保険(40〜64歳)支援金厚生年金
21(18)280,000270,000〜290,000未満27,58032,11664451,240
22(19)300,000290,000〜310,000未満29,55034,41069054,900
23(20)320,000310,000〜330,000未満31,52036,70473658,560

読み方は3つです。

  1. 自分の役員報酬の額面がどの「範囲」に入るかを見る。29万円でも30万9,000円でも同じ22等級
  2. その行の健康保険(年齢で列が変わる)+支援金+厚生年金を足す。22等級・40歳未満なら 29,550+690+54,900=85,140円/月(全額)、40〜64歳なら 34,410+690+54,900=90,000円/月
  3. 折半額は表の隣の列にある。本人負担は上の半分

等級は健康保険が1〜50(標準報酬月額5万8,000円〜139万円)、厚生年金が1〜32(8万8,000円〜65万円)で、表では厚生年金の等級がかっこ書きになっています。厚生年金の等級のほうが範囲が狭いので、報酬が低くても厚生年金には下限の等級(8万8,000円)が、高くても上限の等級(65万円)があります。

境目の1,000円 — 報酬を下げると保険料が上がることはないが、上げると跳ねる

上の表で、報酬月額を30万9,000円にした場合と31万円にした場合を比べます。差は1,000円ですが、等級が22から23に上がります。

報酬月額等級月の保険料(全額・40歳未満)年額
309,000円2285,140円1,021,680円
310,000円2390,816円1,089,792円

報酬を年1万2,000円上げた結果、保険料が年6万8,112円増える。等級の範囲の上端ぎりぎりに報酬を置くと、この跳ねを一段分まるごと避けられます。 逆に範囲の下端ちょうどに置くのは損で、同じ等級のまま報酬だけ減ります。

うちの決め方は、先に「この等級までなら会社の現金が耐えられる」を決めてから、その等級の範囲の上端から1,000円引いた額を役員報酬にするという順番です。等級表から逆算するので、報酬の候補は自然と「29万9,000円」「30万9,000円」のような形になります。

賞与にもかかる — 標準賞与額

役員に賞与を出すには事前確定届出給与の届出が要りますが、社会保険側でも別の計算になります。

「月額を低くして賞与で調整する」は、法人税側では事前確定届出給与の要件、社会保険側では標準賞与額の計算が、それぞれ別に付いてきます。

いつ変わるか — 算定基礎届と随時改定

決めた等級は永続ではなく、決まり直す機会が2つあります。

仕組みいつ何を見るか適用
定時決定(算定基礎届)毎年7月1日〜10日に提出4〜6月の報酬月額(支払基礎日数17日以上の月)その年の9月〜翌年8月
随時改定(月額変更届)固定的賃金が変わったとき変動月から3か月の平均が従前と2等級以上差、かつ各月17日以上変動月から数えて4か月目

ひとり法人で気をつけるのは随時改定のほうです。定期同額給与の通常改定で期首に役員報酬を変えると、それは「固定的賃金の変動」なので、2等級以上動けば月額変更届の対象になります。変えたのが4月なら4〜6月の平均で判定し、7月分から新しい等級。役員報酬の改定と社会保険の改定は、同じ判断を2つの窓口に出すと覚えておくと抜けません。

なお算定基礎届は、6月1日以降に資格取得した人や、7〜9月に随時改定が予定されている人は対象外になります。設立初年度は期首の届出で決まった等級がそのまま走ることが多い、という理解でいいと思います。

まとめ

次に確認すること

  1. 自分の都道府県の令和8年度保険料額表(協会けんぽの都道府県別ページ)。率は東京と違う
  2. いまの役員報酬が、等級の範囲のどこにあるか。上端まで余裕があるか、下端ぎりぎりか
  3. 40歳になる月。介護保険料が乗る月から手取りが変わる