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2026年10月1日から、個人からの仕入の控除は80%ではなく70% — 古物商だけ例外がある

・ 約4分で読めます ・ 文責: ひとり経済圏

中古の仕入れは、ほとんどが個人からです。メルカリ、ヤフオク、店頭の買取。ここで消費税の問題が出ます。

個人はインボイス(適格請求書)を発行できません。 原則として、インボイスのない仕入れは仕入税額控除ができない。10万円で仕入れたうちの約9,090円が、そのまま持ち出しになります。

いまは経過措置で一部が控除できます。ただしその割合は、2026年10月1日から80%ではなく70%です。当初は「2026年10月から50%」の予定でしたが、令和8年度税制改正で下げ幅が緩和されるかわりに、段階的に縮小しながら2031年10月に廃止というスケジュールに変わりました。

目次
  1. 経過措置の期限
  2. 古物商には帳簿だけで全額控除できる特例がある
  3. 「古物」かどうかは、新品/中古では決まらない
  4. 台帳は、税務のためでもある
  5. 10月1日以後の記帳で変わること
  6. いま確認しておくこと
  7. まとめ

経過措置の期限

期間控除できる割合
2023年10月1日 〜 2026年9月30日80%
2026年10月1日 〜 2028年9月30日70%
2028年10月1日 〜 2030年9月30日50%
2030年10月1日 〜 2031年9月30日30%
2031年10月1日以降なし

100万円ぶん個人から仕入れる事業なら、消費税は約90,909円。2026年10月を境に、控除できる額が約72,727円から約63,636円に減りました。同じ仕入れをしていて、まず年約9,000円の負担増。そして2年ごとに段差が来て、5年後には控除がゼロになります。一度きりの引き下げではなく「下りエスカレーター」になった、というのが改正後の正しい絵です。

古物商には帳簿だけで全額控除できる特例がある

ここに例外があります。古物営業法の許可を持つ古物商が、販売用の古物を買い受ける場合、インボイスがなくても、帳簿の保存だけで全額控除できます。

適用の条件は4つです。

  1. 古物商であること(古物営業法の許可を受けている)
  2. 売り手が適格請求書発行事業者ではないこと(個人、免税事業者など)
  3. その古物を販売用(棚卸資産)として取得すること。自分で使う備品は対象外
  4. 法定の事項を記載した帳簿を保存していること

つまり、許可を取っていれば、経過措置の期限も控除割合も関係なくなる。うちが古物商許可を取ったのは中古の輸出を扱うためでしたが、結果として消費税の側で効いています。

同じ趣旨の特例は、質屋、宅地建物取引業者、再生資源・再生部品の買取にもあります。自分の業種に該当するものがないか、一度は確認する価値があります。

「古物」かどうかは、新品/中古では決まらない

ここは間違えやすいところです。古物営業法の「古物」は、一度消費者の手に渡ったものを指します。未使用でも該当します。

仕入れ方古物か特例の対象
個人から買った未使用品(メルカリ等)古物対象
個人から買った中古品古物対象
小売店・卸から新品を仕入れた古物ではない対象外(そもそも相手がインボイスを出す)
一番くじの店頭景品を自分で引いた古物ではない対象外

「新品だから古物商はいらない」は、自分が最初の取得者である場合に限って正しい表現です。

台帳は、税務のためでもある

古物商が古物を買い受けるときは、相手方の氏名・住所・職業・年齢を、法で定められた方法で確認する義務があります。取引の記録(古物台帳)の作成・保存も義務です。

これは古物営業法の話ですが、同じ台帳が消費税の控除要件にもなっています。ここに気づいてから、台帳の位置づけが変わりました。

うちの運用はこうです。

10月1日以後の記帳で変わること

70%になるのは、2026年10月1日以後に行う仕入れからです。9月30日までの仕入れは80%のままなので、10月をまたぐ期は、同じ相手からの仕入れでも日付で控除割合が分かれます。

会計ソフトで、免税事業者や個人からの仕入れに「80%控除」の税区分を使っていた場合は、10月1日以後の取引から70%の区分に切り替えます。区分の名前や対応の時期はソフトごとに違うので、使っているソフトの案内で確認してください。古物商特例を使っている仕入れは全額控除なので、この切り替えの対象外です。

いま確認しておくこと

個人からの仕入れがある事業なら、この3つだけ確認しておくと違います。

  1. 個人からの仕入れが年間いくらあるか。消費税額の10%(80%→70%の差ぶん・仕入額の約0.9%)が、2026年10月以後の当面の増加分の目安。以後は2年ごとに段差が来る
  2. その仕入れが古物に当たるか。当たるなら古物商許可の取得を検討する価値がある(都道府県公安委員会の許可・申請から取得まで日数がかかります)
  3. 帳簿に必要事項が書けているか。特例を使うには帳簿の保存が要件です

まとめ

制度の細部と最新の取扱いは国税庁の資料、古物営業法の要件は所轄の警察署・公安委員会で確認してください。金額の判断は税理士に相談するのが確実です。ここに書いたのは「どこを見るか」の地図までです。