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在庫を数えるまで利益は分からない — ひとり法人の初めての棚卸

・ 約3分で読めます ・ 文責: ひとり経済圏

物販で法人を作って最初の決算で、一番「商売をやってる実感」があったのが棚卸でした。売上でも経費でもなく、期末に残っている在庫を数えて金額を付ける作業です。そして分かったのは、この数字が利益を直接動かすということでした。

目次
  1. 仕組み: 在庫は「まだ費用じゃない」
  2. 評価方法: 届出をしなければ「最終仕入原価法」
  3. 実際にやった手順
  4. 物販ならではの注意点
  5. まとめ

仕組み: 在庫は「まだ費用じゃない」

仕入れた瞬間は、まだ費用になりません。売上原価はこう計算されます。

売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 − 期末在庫

つまり期末に残った在庫の分だけ、費用が翌期に繰り延べられる。仕入100万円でも期末に40万円分残っていれば、今期の原価は60万円。在庫の評価額が10万円変われば、利益もそのまま10万円変わります。

これを知ると2つのことが起きます。

  1. 棚卸を適当にやると利益(=税額)が適当になる。 だから税務でも実地棚卸が求められる
  2. 「黒字なのに現金がない」の正体が見える。 仕入れて売れずに残った在庫は、費用にならず資産に計上される。手元の現金は減っているのに帳簿は黒字、というやつです。物販の資金繰りがきついのは大体これ

評価方法: 届出をしなければ「最終仕入原価法」

在庫に付ける単価の決め方(評価方法)は複数ありますが、評価方法の届出を出していない場合は「最終仕入原価法による原価法」で評価するのが法定のデフォルトです。期末に一番近い時期に仕入れた単価で、その品目の在庫全部を評価する方式です。

ひとり法人の実務ではこのデフォルトのままで困りませんでした。同じ品を繰り返し仕入れる商売で仕入値の変動が大きい場合は他の方法も検討余地がありますが、それは規模が出てからの話です。

実際にやった手順

第1期の期末にやった実地棚卸の流れです。

  1. 期末日を跨がない。 棚卸は期末日時点の在庫。当日か直後に、それ以降の仕入・販売と混ざらないように数える
  2. 物理的に全部並べて数える。 帳簿上の在庫ではなく、目の前にある実物。ここで帳簿と実物の差(記帳漏れ・破損・売れたのに消してない)が必ず見つかります
  3. SKUごとに「品名・数量・仕入単価・仕入日・合計」を一覧にする。 うちはスプレッドシートで台帳化しました。仕入時のレシート・注文履歴と単価を突き合わせる
  4. 売り物にならないものを分ける。 破損・パーツ欠けは評価損の検討対象。「売るつもりで買ったが売れない私物化したもの」は事業供用の整理が必要で、ここが一番グレーになりやすい
  5. 台帳の合計額を期末商品棚卸高として会計ソフトに入れる(決算整理仕訳)。会計ソフトなら仕訳自体は一瞬です

作業時間は在庫の点数次第ですが、日頃から仕入台帳(いつ・どこで・いくらで買ったか)を付けているかどうかで所要時間が10倍変わります。うちは仕入のたびに台帳へ記帳する運用にしていたので、期末は「数えて突き合わせるだけ」で済みました。

物販ならではの注意点

まとめ

在庫を数え終わって台帳の合計が出た瞬間、初めて「今期いくら儲かったのか」が確定します。物販の決算は、棚卸に始まり棚卸に終わります。