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物販法人のクレジットカードは「経費用」ではなく「仕入の決済インフラ」— 1期回して決めた組み方

・ 約4分で読めます ・ 文責: ひとり経済圏

法人カードの記事はたくさんありますが、そのほとんどは「経費を払うカード」の話です。年会費、ポイント還元、出張保険——。

物販の法人は前提が違います。カードに乗る金額の大半は経費ではなく仕入です。うちは1期目から法人カードで仕入を回してきました。月に数十万〜百万円台の仕入がカードを通ります。この使い方だと、選ぶ軸も、起きる問題も、普通の法人カード記事とはズレてきます。

1期回して分かったことを、論点ごとに書きます。

目次
  1. 設立直後でも作れるカードはある
  2. 一番の問題は年会費でもポイントでもなく「枠」
  3. 引き落としまでの猶予は「無利子の運転資金」。ただし逆回転する
  4. ポイントは大きい。ただし会計の扱いを決めてから
  5. カード明細はインボイスにならない
  6. ETC・ガソリンは「クレカの審査」と切り離せる
  7. まとめ

設立直後でも作れるカードはある

「設立1年目・決算書なしでは法人カードは作れない」と思われがちですが、代表者個人の信用をもとに審査するタイプの法人カードなら、設立直後でも発行される余地があります。うちも1期目の早い段階から法人カードで仕入をしていました。

逆に、法人の決算書を求めるタイプは1期目には向きません。申し込む前に「審査対象は法人か、代表者個人か」を確認するのが最初の分岐です。

なお、個人カードで立て替える運用は決算で手戻りになることは以前書いたとおりです。カードが作れないからと個人カードで回し始めると、期末に1件ずつ拾い直すことになります。設立直後の「作れるうちに作る」は、それ自体が決算対策です。

一番の問題は年会費でもポイントでもなく「枠」

物販でカード仕入を始めると、最初にぶつかるのは限度額です。

経費用途なら月数万〜十数万円で収まりますが、仕入は違います。月の仕入額がそのまま枠を食う。月商を伸ばそうとすると、カードの限度額が事業の上限になる瞬間が来ます。

うちで効いた・検討した対策は3つです。

  1. 増枠申請。利用と支払いの実績を数か月積んでから申請する。一時増枠に対応するカードもある
  2. 締め日をまたいで仕入を分ける。枠は「締めから引き落としまで」占有される。仕入のタイミングを締め日の前後に散らすと、同じ枠でも回る量が増える
  3. 繰上げ返済(早期入金)。カードによっては引き落とし日前の入金で枠が回復する。大きい仕入の前に枠を空ける手段になる

「ポイント還元率0.5%の差」より、枠が回るかどうかの方が物販では圧倒的に重要です。ここを軸にカードを選ぶべきでした。

引き落としまでの猶予は「無利子の運転資金」。ただし逆回転する

カード仕入のもう一つの顔は資金繰りです。

仕入から引き落としまでは、締め日と支払日の関係でおよそ1〜2か月の猶予があります。この間に商品が売れて入金されれば、手元資金をほぼ使わずに仕入→売却が一周する。実質的に無利子の運転資金です。

ただしこれは、売却入金がカード引き落としより早い場合だけ成立します。回転の遅い商材、売り時を待つ在庫が増えると、引き落としだけが先に来る。1期目に在庫を積んだ時期は、この「支払いが先・入金が後」の逆回転を体感しました。

対策はシンプルで、カードの締め・支払日と、主要な売却先の入金サイクルをカレンダーに並べること。うちは法人口座の入金と引き落としを同じ口座にまとめ、月内の資金の谷がどこに来るかを見えるようにしています。

ポイントは大きい。ただし会計の扱いを決めてから

月数十万円の仕入がカードを通ると、ポイントは経費用途とは桁が違うペースで貯まります。ここは素直に物販×カードの利点です。

ただし2点だけ先に決めておく必要があります。

ポイント還元を理由に個人カード仕入へ戻るのは、決算の手戻りを考えると割に合いません。還元はカード選びの第2条件までです。

カード明細はインボイスにならない

物販は仕入税額控除が損益に直結するので、ここは落とせません。

クレジットカードの利用明細は、適格請求書(インボイス)ではありません。 控除の根拠になるのは、仕入先が発行する領収書・請求書のほうです。カードで払ったから明細で済む、とはならない。

うちの運用は「カード決済でも、仕入先の適格請求書をその日のうちに保存」の一本です。決算で詰まった話で書いたとおり、後から集め直すのが一番高くつきます。

ETC・ガソリンは「クレカの審査」と切り離せる

仕入や納品で車を使う物販だと、ETCカードの話が付いてきます。法人クレジットカードに付帯のETCを足すのが普通ですが、クレカ本体の審査や枠と切り離したいなら、協同組合系の法人ETC専用カードという選択肢があります。設立直後の会社でも作りやすいのが特徴で、クレカの与信枠を仕入に全振りしたい場合の分離先になります。

まとめ

カードの審査基準・限度額・繰上げ返済の可否は各社で違い、変わります。申し込み前に各社の公式情報で確認してください。この記事は仕組みと運用の整理で、特定カードの推奨ではありません。