ひとり法人の口座はネット銀行で足りた — 選ぶとき見た3点と、後から効いた1点
法人口座をどこにするか。ひとりでやるなら、ネット銀行で足ります。1期回してみて、都市銀行の窓口が必要になった場面はありませんでした。
ただし「どこでもいい」ではありません。選ぶときに見た3点と、1年使って後から効いた1点を書きます。
選ぶときに見た3点
1. 口座維持費
法人口座には月額の維持費がかかるものがあります。個人口座の感覚だと見落とします。
年1〜2万円のコースもあれば、無料のものもある。ひとり法人で、振込の本数がそれほど多くないなら、無料または最安のコースで始めて足りない機能が出たら上げる方向で問題ありませんでした。
2. 振込手数料
物販だと、仕入先への振込と、売上の入金が毎月動きます。1回あたり数百円でも、本数が増えると効いてきます。
見るのは金額そのものより、同行あて/他行あての差と、無料回数の有無です。仕入先が特定の銀行に偏っているなら、そこに合わせる価値があります。
3. 会計ソフトとの連携
これが一番効きました。明細が会計ソフトに自動で入ってくるかどうかで、決算の作業量が変わります。
連携があると、通帳の1行がそのまま取引になる。無いと、明細をダウンロードして取り込むか、手で入れることになります。ひとり法人は入力作業を全部自分でやるので、ここは費用より優先していいと思います。
見なくてよかったもの
逆に、事前に気にしていて実際は問題にならなかったものもあります。
| 気にしていたこと | 実際 |
|---|---|
| 窓口が無いこと | 1期を通じて窓口が必要な場面が無かった |
| 融資が受けにくいのでは | 設立直後はどこでも実績が無いので条件は変わらない |
| 通帳が無いこと | 明細はPDFで出せる。決算でも通帳原本を求められなかった |
| 屋号や信用の見え方 | 相手は法人名を見ている。銀行名を聞かれたことは無い |
「ネット銀行だと信用が」という不安は、取引の相手が法人か個人かで決まる話だと思います。買取店やECのプラットフォームが相手なら、銀行名は論点になりませんでした。
開設の審査で聞かれること
ネット銀行の法人口座は、申込んで即開設ではありません。事業実態の確認があります。
用意しておくと早いのはこのあたりです。
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 定款
- 代表者の本人確認書類
- 事業内容が分かるもの(ウェブサイト、取引先との契約書、請求書、事業計画)
最後が曖昧に見えますが、ここが実質です。設立したばかりで実績が無いほど、ここで説明することになります。事業目的だけ書いてある定款よりも、実際にどこから仕入れてどこに売るのかを説明できる資料のほうが効きます。
仕入れが始まる前に申し込む。 審査に日数がかかるので、口座が無いと仕入れの支払いが個人立替になり、後で役員借入金の処理が増えます。
後から効いた1点:銀行名が変わると、会計ソフトがズレる
これは事前には想像していませんでした。
使っている銀行が、サービスの名称を変更しました。口座番号も支店も残高もそのまま、名前だけが変わる。
このとき、会計ソフト側に登録した口座名は自動では変わりません。旧名称のまま残ります。実害はしばらく出ませんが、次の2つで表に出ます。
- 申告書に書く口座名。 還付の受取口座を記載するとき、申告する時点の正しい名称で書く必要があります
- 証憑と帳簿の名前が合わない。 銀行から届く書類は新名称、帳簿は旧名称。後から見返したときに一致しない
やることは、会計ソフトの口座名を直すだけです。5分で終わります。気づくかどうかだけの話なので、ここに書いておきます。
同じ種類のものとして、住所変更・代表者変更・商号変更も、登記だけでなく銀行・カード・ECアカウント・会計ソフトの全部を直す必要があります。登記が終わると片付いた気になりますが、実務はそこからです。
まとめ
- ひとり法人ならネット銀行で足りる。窓口が必要になった場面は1期を通じて無かった
- 選ぶ基準は維持費・振込手数料・会計ソフト連携。連携は費用より優先していい
- 開設審査では事業実態の説明を求められる。実績が無いほどここが本番
- 仕入れが始まる前に申し込む。口座が無いと個人立替になり、決算の作業が増える
- 銀行名が変わっても会計ソフトの口座名は自動で直らない。申告書と証憑で表に出る
手数料や条件は変わります。金額の比較は各行の公式サイトで、申告書の記載は税理士か所轄の税務署で確認してください。