スマホ乗り換えの損得は、3つの財布に分けないと数えられない
乗り換えの広告は、だいたい「実質◯円」でまとめられています。この形にされると、何と何を比べているのか分からなくなります。
端末の割引、回線の月額、下取り、キャンペーンのポイント。性質の違うものを1つの数字に潰してあるからです。
分けて数えます。財布は3つあります。
3つの財布
| 財布 | 中身 | 数え方 |
|---|---|---|
| 端末 | 本体価格 − 端末割引 − 下取り | 1回きりの支出 |
| 回線 | 月額 × 使う月数 + 事務手数料 − 還元 | 続く支出 |
| 出口 | いま持っている端末をどう手放すか | 1回きりの収入 |
この3つは別々に足し引きします。まとめると、片方の得でもう片方の損が隠れます。
よくあるのは、端末が大幅に安くなる代わりに回線の月額が高い、という組み合わせです。端末だけ見れば得ですが、24か月使えば回線側で逆転していることがあります。
期間を先に決める
3つを比べる前に、何か月で計算するかを決めます。ここを決めないと比較になりません。
目安は、自分が実際に同じ回線を使う期間です。過去に2年ごとに変えているなら24か月。5年使うなら60か月。
短期の還元は、期間が長いほど薄まります。 24か月で割れば月あたりに効く金額も、60か月なら半分以下になる。逆に月額の差は、期間が長いほど効きます。
総額 = 端末の支出 + (月額 × 月数) + 事務手数料 − 還元 − 出口の収入
この1本で、どの組み合わせも同じ土俵に乗ります。
下取りのポイントを額面で足さない
ここが一番間違えやすいところです。
iPhoneの下取り価格を6社で比べたときに分かったのですが、下取り額を現金で払う先は1つもありません。
| 出し先 | 受け取り方 |
|---|---|
| ドコモ | dポイント |
| au | Pontaポイント(のりかえ時は代金への充当) |
| 楽天モバイル | 楽天ペイの残高 |
| Googleストア | 代金の値引き |
| Apple | 代金の値引き、またはギフトカード |
つまり下取りは「売る」ではなく、「次の買い物が安くなる」話です。
換算するときのルールを決めておくと、比較がぶれません。
- 代金への値引きは、額面どおり。 その場で支払いが減るので現金と同じ
- ポイントは、使い切れる見込みがある分だけ額面。 普段使わない経済圏のポイントは、割り引いて数えるか、ゼロで数える
- 有効期限のあるポイントは、期限内に使える額まで
「10万円ぶん下取り」と書かれていても、それが自分の使わないポイントなら、家計に入ってくる額は10万円ではありません。
買取店と比べる
現金がほしいなら、選択肢は下取りではなく買取店です。ここは同じ表に並べて比べます。
| キャリア・メーカーの下取り | 買取店 | |
|---|---|---|
| 受け取り方 | ポイント・値引き | 現金・振込 |
| 手続き | 乗り換えと同時に完結 | 別に持ち込む/送る |
| 査定 | 状態区分で機械的 | 個別査定、店ごとに差 |
| 使い道の制限 | その会社の中でのみ | 制限なし |
手間の差ぶんだけ、買取店の額が高くなければ意味がないという比べ方になります。乗り換えのついでに終わる下取りには、額面に出ない価値があります。
判断が変わるのはこのあたりです。
- 買い替えるなら下取りが有利になりやすい(値引きは現金と同じ効き方をする)
- 買い替えないなら買取店。値引きの相手がいないと、下取りの価値は出ない
- その経済圏を普段使っていないなら買取店。ポイントは使ってはじめて価値になる
端末の返却プログラムに注意する
端末代を安く見せる仕組みとして、一定期間後に端末を返す前提のプログラムがあります。
これは月々の支払いを下げますが、最後に端末が手元に残りません。つまり出口の財布がゼロになります。
3つの財布で数えると、こう見えます。
- 端末の財布:安くなる
- 出口の財布:次の乗り換え時に、下取りに出す端末が無くなる
- 返却時の査定によっては、追加の負担が出ることもある
安いのは事実です。ただし「安い」の中身が、将来の下取り額の前借りであることは、数える前に知っておく必要があります。
確認する順番
比較を始める前に、この5つを埋めます。埋まっていれば、あとは計算するだけです。
- いま使っている端末の機種と容量。 下取り額は容量で変わる(auのように容量で変わらない会社もある)
- 何か月で計算するか。 過去に自分が何年で乗り換えているか
- 月に何GB使うか。 実測値を見る。想像だと多めに見積もりがち
- その経済圏のポイントを普段使うか。 使わないならポイント還元はゼロで数える
- 端末を手元に残したいか。 残したいなら返却プログラムは対象外
まとめ
- 「実質◯円」は性質の違う数字を潰してある。端末・回線・出口の3つに分ける
- 先に期間を決める。短期の還元は期間が長いほど薄まり、月額の差は濃くなる
- 下取り額を現金で払う先は無い。ポイントは使い切れる分だけ額面で数える
- 現金がほしいなら買取店。買い替えないなら下取りの価値は出にくい
- 返却前提のプログラムは、将来の下取り額の前借りとして数える
キャンペーンと手数料は頻繁に変わります。枠組みだけ持っておいて、金額は申し込む時点で各社の公式ページから拾ってください。 数え方さえ決まっていれば、金額が変わっても比較はやり直せます。