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輸出1件の固定費を実測したら5,783円だった — 出品を9本止めた日

・ 文責: ひとり経済圏

初めて1件、海外に発送しました。ポケモンカード、売価40ドル。「小さくて軽いから送料は1,000円ちょっとだろう」と思っていました。

請求を全部並べたら、商品価格に関係なくかかる費用だけで約5,783円ありました。売価40ドル、当時のレートで6,000円弱。ほぼ全部が消えた計算です。

この1件のせいで、出していた11本のうち9本を止めることになりました。何が起きていたのかを費目ごとに置いていきます。

1件あたりの固定費の内訳

輸出1件あたりの固定費の積み上げ。送料3,535円・輸入手続き手数料402円・個人宛配達手数料420円・通関手数料426円・立替手数料1,000円で合計5,783円

費目金額性質
送料(東京→米国・1kg帯)3,535円固定
輸入手続き手数料+サーチャージ402円固定
個人宛配達手数料約420円固定(買い手が住宅なら避けられない)
通関手数料(政府)426円固定
クーリエの立替手数料約1,000円固定(関税を売り手側が持つ場合)
合計約5,783円商品価格に関係なくかかる
関税申告額の約15%商品価格に比例

クーリエ(FedEx)を使い、東京から米国へ、実重量1kg帯で送ったときの実額です。2026年8月7日時点。

間違いは2つ重なっていた

1. 送料の基準が日本郵便の水準だった

出品を組んだときに使っていた基準は「〜500gで約1,300円、〜1kgで約2,000円」でした。これは日本郵便の小形包装物やeパケットの水準です。

クーリエの実勢とは2.7倍離れていました。輸出の記事や動画で見かける送料の相場が、どの配送方法のものかを確認していなかった。これが1つ目です。

2. 米国の少額免税がもう無い

以前は、一定金額以下の輸入品には関税も通関手続きもかかりませんでした(de minimis)。この扱いは撤廃されています

つまり40ドルの荷物でも、10万円の荷物と同じ通関の固定費がかかる。「安いものを数で回す」という組み立てが、制度の側から成立しなくなっていました。

「仕入の2倍で売る」をやめた

それまでの選定基準は「仕入の1.5〜2倍で売れる定常品」でした。この基準は捨てました。

固定費が商品価格に関係なく約5,783円かかるなら、倍率は意味を持ちません。2,000円で仕入れて4,000円で売る(2倍)は、粗利2,000円に対して固定費5,783円で、大きく赤字です。

代わりに置いた基準がこれです。

粗スプレッド(販売手数料を引いた純受取 − 税込仕入)が 8,000円以上。固定費5,783円を払って、なお2,000円以上残ること。

利益を1,500円残すのに必要な売価は、こう計算します。

必要売価(USD) = (税込仕入 + 5,783 + 1,500) ÷ (為替 × 0.6775)

0.6775 = 1 − eBay手数料 17.25% − 関税 15%

梱包後の大きさも判定に入れます。 容積重量は「縦×横×高さ÷5000」で、2,500cm³を超えると1kg帯の料金に乗ります。軽くても箱が大きいと、重い荷物と同じ送料になります。

計算し直したら11本中9本が赤字だった

出していた11本を新しい式で計算した結果です。品名は伏せて、粗スプレッドと判定だけ並べます。

商品の型売価粗スプレッド関税を売り手が持つ場合の利益判定
替刃10箱セット$149.999,869円+756円継続
替刃5箱セット$109.998,575円+351円継続
小型家電(単品)$86.993,172円−4,543円停止
小型家電(単品・上位)$114.993,083円−5,253円停止
手芸用品(単品)$166.992,631円−6,859円停止
工具(単品)$44.992,495円−4,287円停止
工具3本セット$42.991,867円−4,870円停止

9本をその日のうちに出品終了にしました。無在庫で受注後に仕入れる形だったので、在庫の損はゼロ。気づくのが売れた後だったら、売れるたびに5,000円ずつ失っていたことになります。

生き残ったのは、どちらもセット品だった

残った2本がどちらも「まとめ売り」なのは偶然ではありません。

箱1つを送る費用は固定なのに、中身を束ねるとスプレッドだけが増えます。 単品では固定費を回収できず、束ねると回収できる。輸出で「セット組成」が定番になっている理由が、計算してはじめて腑に落ちました。

ただし束ねれば何でもいいわけではありません。工具3本セット($42.99)はスプレッド1,867円で、束ねても固定費に届いていない。束ねる対象は、単価が高いか、束ねる数を大きく増やせるものに限られます。

まとめ

送料は「調べれば分かること」でした。調べる前に11本出していた、というだけの話です。1件送ってみるまで、自分がどの数字を信じているかにも気づきませんでした。