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小規模事業者持続化補助金は「従業員ゼロのひとり法人」でも使える — 50万円の2/3、ただし手間は公庫融資より重い

・ 約5分で読めます ・ 文責: ひとり経済圏

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IT導入補助金の記事を書いたあと、「ひとり法人が現実に使える補助金はほかにあるのか」を調べ直しました。名前が最初に出てくるのが小規模事業者持続化補助金です。商工会議所や商工会が窓口で、「販路開拓」の経費を補助する制度。うちはまだ申請していませんが、公募要領(第20回・第7版)を読んで、ひとり法人の立場で「使えるか」「手間はどれだけか」を整理しておきます。

目次
  1. 従業員ゼロでも「小規模事業者」に入る
  2. 数字: 2/3・上限50万円、インボイス登録なら+50万円
  3. 対象経費: 8種類、HP代は「単独不可・上限30万円」
  4. 手間の本体は「様式4」と「実績報告」
  5. ひとり法人が申請する価値があるケース
  6. まとめ
  7. 次に確認すること

従業員ゼロでも「小規模事業者」に入る

まず入口です。対象は業種ごとの従業員数で決まります。

業種常時使用する従業員の数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

ここで効くのが「常時使用する従業員」の定義です。公募要領は労働基準法上の「解雇の予告を必要とする者」としたうえで、会社役員や同居の親族従業員は含まれないと明記しています。つまり役員1人だけのひとり法人は従業員ゼロで、上限「5人以下」に余裕で収まります。合同会社も対象法人の一覧(株式会社・合名・合資・合同会社・特例有限会社など)に入っています。

除外は大企業向けの条件が中心です。資本金または出資金5億円以上の法人に直接・間接に100%の株式を持たれていないこと、直近3年の課税所得の年平均が15億円を超えていないこと。ひとり法人には関係のない線です。

もう一つ、申請時点で開業していない創業予定者は対象外です。開業届の開業日が申請日より後だとだめ、と要領に例が書かれています。

数字: 2/3・上限50万円、インボイス登録なら+50万円

項目内容
補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
補助上限50万円
インボイス特例+50万円
賃金引上げ特例+150万円
両特例+200万円

ひとり法人に現実的なのは通常枠+インボイス特例=上限100万円です。インボイス特例の要件は、補助事業の終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けていて、かつ「2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だった」または「2023年10月1日以降に創業した」のどちらかに当てはまること。最近作った法人なら後者で入ります。ただし過去にインボイス特例(旧インボイス枠含む)で採択された事業者は対象外で、特例を希望して要件を1つでも外すと上乗せ分だけでなく全体が交付されないとあります。

賃金引上げ特例は従業員への給与支給が前提なので、従業員ゼロのひとり法人には使えません。

対象経費: 8種類、HP代は「単独不可・上限30万円」

対象経費は8つです。機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費。

ひとり法人が最初に思いつく「会社HPを作る費用」には縛りがあります。

会社HPを0円で作った記事で書いたとおり、HPそのものは無料でも作れます。補助金を使う意味が出るのは、チラシや展示会、パッケージなど「販路開拓」の経費が本体にあって、HPがその一部に付く構成のときです。

機械装置等費には注意書きがあります。単価50万円(税抜)以上のものは「処分制限財産」になり、補助金を受け取ったあとも一定期間は勝手に売却・廃棄できません。発注総額が50万円(税込)を超える場合は2者以上の見積が必要。中古品も、2者以上の中古品販売事業者からの見積が要り、個人やオークションからの購入は認められません。物販をやっていると「中古を安く仕入れて設備にする」発想が出ますが、この補助金では通りません。

手間の本体は「様式4」と「実績報告」

ここが公庫融資との違いです。公庫の記事は申込〜面談〜融資で終わりますが、補助金は採択されてからが長い。

段階ひとり法人がやること第20回の日付
事前GビズIDプライムの取得(必須・電子申請のみ)今すぐ
事業計画(様式2)を作る経営計画と補助事業計画を書く受付開始 2026年11月5日
様式4を商工会議所・商工会に依頼事業支援計画書を発行してもらう発行受付締切 2026年12月4日
申請電子申請システムで提出受付締切 2026年12月15日 17:00
採択発表通知を待つ2027年3月頃予定
交付決定見積書等を出して決定を受ける。交付決定日より前の支出は対象外採択から概ね1〜2か月
補助事業経費を使い、支払を完了する事業実施期限 2028年3月31日
実績報告実績報告書と経理書類を提出事業終了後
事業効果報告終了1年後の状況を報告1年後

見てのとおり、申請してから補助金が振り込まれるまで、早くても半年以上です。しかも経費は先に自分で払い、あとから2/3が戻る後払い。資金繰りとしては「補助金があるから買える」ではなく「買える金があって、その一部が戻る」制度です。

様式4は商工会議所・商工会が発行するもので、締切の11日前が発行受付の締切になっています。要領には「受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません」とあるので、ここを落とすと申請そのものができません。地域の商工会議所の会員でなくても相談はできますが、計画書を見てもらう時間が要るので、11月に入ってから動くのでは遅いと考えたほうがいい。

実績報告では、見積書・発注書・請求書・支払の証憑を経費ごとに揃えます。電子帳簿保存法の最小対応の記事で書いた「証憑を日付・金額・取引先で引けるようにしておく」が、そのまま補助金の実績報告に効きます。帳簿がぐちゃぐちゃだと、採択されてから一番苦しくなるのがここです。

ひとり法人が申請する価値があるケース

うちの結論はこうです。

補助金は「もらえるかも」で動くと時間だけ溶けます。使う予定の経費があって、それが対象8経費に入っていて、様式4の締切に間に合う。この3つが揃ってから動くのが、ひとり法人の体力に合った使い方です。

まとめ

次に確認すること

  1. GビズIDプライムを取っているか(取得に日数がかかる)
  2. 自分の地域の商工会議所・商工会のどちらが窓口か(住所で決まる)と、様式4の相談受付の開始時期
  3. 公募要領は版が更新されるので、申請前に事務局サイトで最新版と「今後の公募予定」を見る