法人メールをGmailのままにしない — 独自ドメインメールの作り方と「届く」ための3レコード
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法人を作ったあと、しばらく個人のGmailで仕事のメールをやっていました。動くには動きます。ただ、銀行・取引先・ASPあたりとやり取りが増えると「会社なのに@gmail.com」は地味に信用を削ります。実際、法人口座やサービスの審査フォームには会社メールアドレスを書く欄があり、独自ドメインだと話が早い場面が何度かありました。
で、独自ドメインのメール(info@自社ドメイン)を作ったのですが、ここで分かったのは「作る」より「ちゃんと届くようにする」ほうが本体だということです。順に書きます。
構成は実質3択
| 構成 | 月額の目安 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| A. 無料のメール転送 + Gmailから送信 | 0円 | 受信が主で、送信頻度が低い初期 |
| B. レンタルサーバー付属のメール | サーバー代に込み(月数百円〜1,000円強) | HPをレンタルサーバーで作るならついでに |
| C. Google Workspace | 1ユーザー月680円〜 | メールを本気で使う。容量・安定・カレンダー等込み |
A(0円転送)は、ドメイン登録会社やCloudflareの無料メール転送機能で info@自社ドメイン → 個人Gmail の転送を作り、送信はGmailの「他のメールアドレスから送信(エイリアス)」機能で名乗る構成です。コストゼロで独自ドメインメールの見た目が手に入ります。弱点は送信の設定が一手間なのと、大量送信・添付が絡む用途には向かないこと。
B(サーバー付属)は、会社HPの記事で書いたようにHPをレンタルサーバーで運用しているなら、メールボックスが料金に含まれていることが多く、追加0円で作れます。管理画面も1箇所にまとまる。
C(Workspace)は月680円かかりますが、Gmailの操作感そのままで独自ドメインが使え、容量・迷惑メールフィルタ・カレンダー・Meetまで付きます。うちは最終的にこれにしました。理由は単純で、メールは事故ったときのダメージが大きい割に、月680円は固定費として誤差だからです。固定費の記事で通信費を削る話を書きましたが、削る場所と買う場所の使い分けです。
どれを選んでも、受信を個人Gmailに転送しておけば「見る場所は1つ」にできます。うちも会社宛は全部個人Gmailに集約して、返信時だけ会社アドレスで名乗る運用です。
本体は「届くようにする」設定 — SPF / DKIM / DMARC
独自ドメインメールを作った直後のアドレスは、実は相手の迷惑メールフォルダに落ちやすい状態です。ドメインに「このメールは本物です」と証明する情報が何も付いていないからです。GmailやMicrosoftは2024年以降この検証を厳格化していて、未設定だと届かないことが普通に起きます。
やることはDNSにレコードを3つ足すだけです。名前は仰々しいですが、全部コピペ作業です。
| レコード | 役割 | 中身のイメージ |
|---|---|---|
| SPF | このドメインの送信を許可するサーバーの一覧 | v=spf1 include:(サービス指定の値) ~all |
| DKIM | メールに付ける電子署名の公開鍵 | サービスの管理画面が発行する長い文字列 |
| DMARC | 上2つに失敗したメールの扱いの宣言 | v=DMARC1; p=none; rua=mailto:(自分宛) |
実際にやった手順はこうでした。
- メールサービス側(Workspaceならその管理画面、サーバー付属ならサーバーの管理画面)に「SPF/DKIMの設定値」を表示するページがあるので、そこで値を発行する
- ドメインのDNS管理画面(ドメイン会社かCloudflare)で、TXTレコードとして貼り付ける
- DMARCは最初は
p=none(何も弾かず、レポートだけ受け取る)で入れる。いきなり強い設定にすると、正当なメールまで弾かれたときに気づけない - 反映を確認する。WindowsならPowerShellで
Resolve-DnsName 自社ドメイン -Type TXT -Server 8.8.8.8を打つと、公開DNSに載ったかその場で確認できます
30分ほどの作業ですが、これをやっているかどうかで「営業メールが相手に届く確率」が変わります。フォームからの問い合わせに返信したのに返事がない、の何割かはここが原因です。
つまずいた点・注意点
- ドメインのネームサーバがどこを向いているかを先に確認する。 DNSレコードは「ドメイン会社の画面」と「Cloudflare等の画面」のどちらで管理しているかで編集場所が変わります。違う方をいくら編集しても反映されません
- MXレコードは消さない・重複させない。 メールの配送先を決める最重要レコードです。HP移転などでDNSを触るとき、Webのレコードだけ移してMXを消す事故が定番です
- DKIMの公開鍵は名前のとおり公開情報なので、DNSに載せて問題ありません(秘密鍵はサービス側が持っています)
- 転送運用にする場合、転送先のGmailで迷惑メール判定されていないかを最初の数週間は見ること。転送はSPFの検証が壊れやすい経路なので、たまに救出が要ります
まとめ
- 見た目(独自ドメインで名乗る)だけなら0円で作れる。転送+Gmailエイリアスで十分
- HPをレンタルサーバーに置くなら付属メールがコスパ最良、メールが業務の中心なら月680円のWorkspace
- どの構成でもSPF/DKIM/DMARCの3レコードまで入れて完成。作っただけのメールは届かない
法人の名刺代わりに一番安く効くのがメールアドレスです。HPより先に作っていいくらいだと思います。